へんりっく 寺山修司の弟(公式サイト)「ローラ」の動機について寺山修司はこう述べていた。
「今までスクリーンの中は禁じられた聖域として、観客と別の世界に生きていたわけであるが、ここでは観客がスクリーンの中へ入ったり出たり出来るのである。つまり、スクリーンの中が“手で触れられる世界”であることを実現してみせる映画ということで、いささか行為が立つものだった」
この映画の仕掛けはゴム製の特製スクリーン。まん中にに縦に切れ込みがいれてあって、ここを森崎偏陸がでたり入ったりする。
フィルムに写っているのは厚手のエンジ色のジャケットを着た森崎偏陸。永遠の姿である。
しかし現実はそうではない。真夏であっても、現実の森崎偏陸は暑苦しい格好をしなくてはならない。映画にあわせて演技をするのは生身の人間だから、汗もかくし、年も取る。
25歳の姿はいつみても変わらない。年を取るのは観客席からスクリーンへ導かれる本物の偏陸さん。還暦ちかい男。寺山の意図からはいつしか離れて、「ローラ」が上映されるたびにちょっとづつ変わっていく森崎偏陸という人物の奇妙な生き方を感じぜずにはいられなくなる。この映画は見るということは、偏陸を考えること、ということになってしまう。
25歳の自分と絡まなくてはいけない人。余人が変わることができない役目。
それどころか、実生活でも2度も寺山の弟になっているのである。そのことは寺山は知らないというのもまた面白いのだが。
人間は忘れることで、今を生きることができる。忘れてしまうと同時に、ありもしなかった記憶を作って、それを糧に生きることもある。その自由を制限されるとどんな感じがするのか想像もつかない。9分程度の作品なのだが、これを30年以上繰り返すしていると、あの特製スクリーンを行ったり来たりしているあいだに、自分の存在があいまいになりはしないのだろうか。
この「へんりっく 寺山修司の弟」という映画のなかで、へんりっくさんの頭の中が少しでも見えることを期待してしまう。
寺山宇宙の面白さ、へんりっくさんみたいな不思議な星座があることだ。しかし肝心の寺山さんは星座物語の作者で、星にはなっていない。星にされちゃった人は、永遠に空をぐるぐる回るのである。
■上映スケジュール
2009年10月10日(土) 20:50〜
シアター・イメージフォーラム渋谷にてレイトショー
初日の舞台挨拶
10/10(土)上映前
ゲスト
森崎偏陸(寺山偏陸)
石川淳志監督
ペーソス(歌手デュオ)
特別ゲスト
末井昭 氏(白夜書房編集局長)
10/16(金)上映前
ゲスト
宇野亜喜良 氏
森崎偏陸(寺山偏陸)
石川淳志監督
2009年 秋
第七藝術劇場(大阪)
時期未定
名古屋シネマテーク(名古屋)
シアターキノ(札幌)
順次全国ロードショー
posted by ガレージランド at 01:28| 東京

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寺山修司
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